思いやりを実践する施設

北海道療育園は重度の肢体不自由と重度の知的障害を併せ持つ重症心身障害児者の方々が利用する施設です。
医療機関と福祉施設の2つの機能を用いて入所支援と在宅支援を行なっています。
私は入所施設と在宅支援については次のように考えています。
入所施設とは、居心地がよくて、子供が世間に出ていって打ちひしがれた時にはいつでも帰って来られる「実家」であり、また在宅支援とは、子供が他所のご飯を食べたりおばあちゃんの家に泊まってくるとひと回り大きくなって帰って来るような、重症児者にとっての「経験する場所」であり「成長する場所」ではないかと。私はこの視点を持って療育を提供したいと願っています。
また、当園で働いていますと人が共に生きるこの社会にあって何が大切なのかを考えさせられます。
重症心身障害児者もお世話にあたる職員も一人で生きることができませんし、職員だっていつかはお世話される時が来ます。
今はお世話する側であったり、お世話する方を助ける側であるけれども、いつかは自分がお世話されたり、お世話している人を自分ではお世話することができなくなって全面的に他者に依存する立場になるかもしれません。すなわち「お互い様」です。
お互い様であるが故に、私たちは「相手を思いやること」を忘れてはならないと思います。
私は施設運営にあたり、当園は思いやりを実践する施設でありたいと考えています。
社会で生きられない者もここに来さえすれば生きることができる。
他所で働けない者もここでなら働くことができる。
ここに来たら元気になって、今度は相手を思いやることができる。
そのような施設を目指しています。