配色
標準
文字の大きさ
拡大
縮小
標準

彫刻の森 風のギャラリー彫刻の森

風のギャラリー彫刻の森いのちがそのまま在ることの尊さ、人と人とがつながることの素晴らしさ、喜びや哀しさを分かち合うことの大切さ、それを感じる心は私たちの文化に根ざしたものからもたらされるものだと思います。良い医療も、良い福祉も、文化に根ざした豊かな土壌のなかから芽を出し、育まれ、花や実を結ぶものであると私たちは考えています。

こうした思いのなか、私たちは基本理念に「福祉の文化化」を加え、その象徴的事業として園庭に「やさしさ」と「親しみ」をテーマとする「風のギャラリー〝彫刻の森〟」を立ち上げました。

皆様とこの思いを共有、共感できる場として、多くの人びとに愛され、やすらぎの場、出会いの場となることを願っています。


 

風のギャラリー〝彫刻の森〟記念モニュメント

彫刻の森モニュメント 荒井善則
デザイン:荒井善則
(元北海道東海大学北方生活研究所 所長)

人魚/佐藤忠良

 
人魚 佐藤忠良
材質:ブロンズ
作品:H170mm×W270mm×D500mm
台座:1000mm
設置日:平成12年9月
人魚は昔から世界の国々で作品に語り伝えられる物語のようですが、私はこの不思議な女性を広く深い水面から大気の中へ若々しく跳ね上がらせようと思いたったのです。どの人魚も腰から下をウロコにしてありますが、私は足の部分だけを尾ヒレにして試みてみたのです。(除幕式での挨拶より)

佐藤忠良略歴

1912年 宮城県生まれ。6歳の時に夕張に移る。
1939年 東京美術学校彫刻科卒業。
1966年 東京造形大学教授。
1975年 第6回中原悌二郎賞受賞。
※文化功労賞、文化勲章など国家からの賞を「職人に勲章は要りません」とすべて辞退。
2011年 ご逝去 98歳。

小川に魚が帰った日/加藤昭男

小川に魚が帰った日 加藤昭男
設置日:平成13年8月
材質:ブロンズ
作品:H120mm×W3400mm×D1000mm
白樺を交えた緑深い樹々と美しい芝に覆われた北海道療育園の園庭。そこに制作する彫刻のモチーフを「小川に魚が帰った日」とした。最近自然環境の保護が叫ばれ、一時まったくいなくなった魚も川に帰ってきた。少年の頃、小川で魚とたわむれた喜びを表現した。直に芝の上に設置して、腰掛けたり、さわったりして親しまれる彫刻となれば幸いです。(除幕式での挨拶より)

加藤昭男略歴

1927年 愛知県生まれ。
1953年 東京藝術大学彫刻科卒業。
1994年 第25回中原悌二郎賞受賞。
2015年 ご逝去 87歳。

風の庵(いおり)/渡辺行夫

風の庵 渡辺行夫
設置日:平成13年7月
材質:大理石・御影石
作品:H2200mm×W2000mm×D2000mm
「風の庵」は、内部空間を外側と同じくらい強く意識しながら制作した彫刻です。約130個の大小様々な石は無造作に存在しているようですが、それぞれに重要な役割を分担しています。内部に入り、座って見ると透き間だらけで風も通るし、雨も流れますが、すべて予定通りに出来ました。自然の呼吸をおおらかに受け入れながらも堅牢な壁は、内部にうずくまる者に何か働きかけてくるようです。(除幕式での挨拶より)

渡辺行夫略歴

1950年 紋別市生まれ。
1973年 金沢市立美術工芸大学彫刻科卒業。
1992年 洞爺湖ぐるっと彫刻公園に「風待ち」設置。
1993年 第6回本郷新賞受賞。

連山夢想-旭川/眞板雅文

連山夢想ー旭川 眞板雅文
設置日:平成13年7月
材質:安山岩・ステンレス
作品:H1200mm×W1800mm×D1200mm
人は山に対する思いをそれぞれに持ち、この先も永遠に語られてゆくことだろう。私は様々に姿を変える美しい山並みを眺めることで、創作の活力を得てきた。連山夢想は、山の持つ力と、移ろう時を表現している。彫刻の前で、ひとりひとりの心の内にある記憶、山への憧憬を重ね合わせて夢のひとときを持っていただければと思います。(除幕式での挨拶より)

眞板雅文略歴

1944年 中国(旧満州・奉天)生まれ。
1971年 第6回国際青年美術家展で大賞を受賞。留学費を得てフランスへ2年間留学。
1994年 第3回倉敷まちかどの彫刻展で大賞を受賞。
1995年 第7回本郷新賞を受賞。
1997年 第25回長野賞受賞しオリンピック村に彫刻設置。
2009年 ご逝去 64歳。

森の中に NEL BOSCO/吾妻健治郎

森の中へ 吾妻健治郎
設置日:平成14年7月
材質:ブロンズ
作品:H2580mm×W530mm×D1100mm
北海道療育園の園庭の写真をはじめて見た時に、この美しい自然の中に動物の彫刻があっても良いのではないかと直感的に考え、また利用者の方々の顔が浮かんだ。この彫刻の庭の主人公は利用者さんであると思う。美しい芝生や樹木の間に鳥の彫刻が静かに佇んでいる風景。動物たちにも適切な空間、共にとけ込める環境。自然の中に、自然と共に、楽しい憩いの場となり、〝夢の中の鳥〟〝空想の中の鳥〟として、皆さんに可愛がって頂ければ幸甚です。(除幕式での挨拶より)

吾妻健治郎略歴

1926年 山形市生まれ。
1954年 東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。
1956年 イタリアへ留学。マリノ・マリーニ氏に師事。以後、イタリア・ミラノで彫刻家として活動。
1964年 高村光太郎賞受賞。
1999年 第30回中原悌二郎受賞。
2016年 ご逝去 90歳。

浮くかたち—宙— Floating from cosmos/植松奎二

浮くかたち 植松奎二
設置日:平成14年7月
材質:ステンレススチール、花崗岩
作品
・ステンレス H1275mm×W・D300mm
・石 H2350mm×W400mm×D300mm
白樺の樹々の森の中に宇宙にちらばる星や星座を想い浮かべ、芝生を盛り上げて螺旋の路を作ってみた。そして螺旋の中心には地球の記憶を残している割り肌の白い石柱、その上には赤い円錐体が、花が咲いたようにある。白樺の樹々と一緒に成長していく、生成していく空間がそこには創り出されている。人々はこの螺旋の路を中心へ、あるいは中心から外へ辿りながら、人間と自然とのかかわりから自然界の生命の無限を感じていただければと思い、作った作品です。(除幕式での挨拶より)

植松奎二略歴

1947年 兵庫県生まれ。
1969年 神戸大学教育学部美術学科卒業。
1990年 第12回須磨離宮公園現代彫刻展大賞受賞。
1996年 第23回長野市野外彫刻賞受賞。
2013年 第38回中原悌二郎賞受賞。
長くドイツを拠点に活動し欧州での展覧会も多い。

静けさ/和泉正敏

静けさ 和泉正敏
設置日:平成14年7月
材質:玄武岩
作品:H500mm×W750mm×D720mm
割れた石肌を風がつたい、水の流れに涼風を醸し出す。命の根源である水の美しさを汲み取るとき、自然と人間の営みが体中に伝わってきます。静かな水の生命を思うとき、人と人との愛を感じ、生きる源を受け取ることができます。(除幕式での挨拶より)

和泉正敏略歴

1938年 香川県生まれ。
1953年 石の仕事を始める。
1964年 イサム・ノグチと出会い。以後25年に渡り石彫制作に協力。イサム・ノグチの代表作「黒い太陽」「噴水」などの制作に協力。また札幌大通り公園「ブラック・スライド・マントラ」、札幌モレエ沼公園「プレイマウンテン」を完成させる。
2021年 ご逝去 82歳。
※この彫刻は園庭ではなく北海道療育園内の中庭に設置。

開放VI/土谷 武

開放VI 土谷武
設置日:平成15年8月
材質:ブロンズ
作品:H4150mm×W3360mm×D3110mm
 
〈開放VI〉は、五感で大地や大気のもっている様々なものを、たっぷり呼吸する寄辺でありたい。暖かさや寒さ、光りや影、はるかな音に満たされた静寂、身近に生きているものの気配、匂い、乾燥と湿り気など。また、北海道療育園の利用者と利用者を支えている方々、森に来られる人々の止まり木のようなものである。時にはこれが彫刻であると気がついてもらえれば嬉しいと思う。(除幕式での挨拶より)

土谷 武略歴

1926年 京都市に生まれる。
1949年 東京美術学校彫刻科卒業。
1961年 フランスに2年間留学。
1972年 第3回須磨離宮公園現代彫刻展大賞受賞。
1990年 第21回中原悌二郎賞受賞。
2004年 ご逝去 78歳。
日本を代表する抽象彫刻家の一人。本作品は病をおして制作された最晩年の作で遺作とも言える。

気流/西野康造

気流 西野康造
設置日:平成15年7月
材質:チタン
作品
・最大巾  6200mm
・ポール 5400mm
北海道療育園の木立の中で、四季折々この彫刻がどんな表情をし、時とともに風のかたちをどう表現してくれるのか、楽しみにしています。(除幕式での挨拶より)

西野康造略歴

1951年 兵庫県生まれ。
1977年 京都市立芸術大学彫刻専攻科修了。
1978年~79年 ヨーロッパ、北アフリカ、中近東、アジアの遺跡等を訪問。チタンを主な素材とし、公共空間に躍動感あふれる野外彫刻作品を数多く制作。
2011年 第14回本郷新賞受賞。
2013年 同時多発テロで崩壊した世界貿易センタービル跡地・グランド・ゼロに建設された第4世界貿易センタービルのエントランスホールに「スカイメモリー」を設置。
2021年 第42回中原悌二郎賞受賞。

あい/笹戸千津子

あい 笹戸千津子
設置日:平成16年7月
材質:ブロンズ
作品:H1660mm×W660mm×D560mm
粘土に思いを託しながら、具象の表現様式に終始してきているのは、逃れることのできない自然との照応の深さと難しさのためなのかも知れません。「あい」は、子どもの素直で清楚な美しさや逞しさを、女の子を凛と立たせたポーズの中に表現できればと思いました。大自然の季節の移り変わりの中で、此処を訪れる多くの人々とのお心と爽やかな語らいになり得ますことを心より願っております。(除幕式での挨拶より)

笹戸千津子略歴

1948年 山口県周南市に生まれ。
1970年 東京造形大学美術学科彫刻専攻科卒業。
1973年 彫刻家佐藤忠良氏のアトリエで制作を始める。佐藤氏の作品「帽子・夏」「帽子・立像」など30年に及び彫刻のモデルを務める。
1987年 第18回中原悌二郎賞優秀賞受賞。
1998年 第26回長野市野外彫刻賞受賞。

婦人像・昼/加藤顕清

婦人像・昼 加藤顕清
設置日:平成16年7月
材質:ブロンズ
作品:H1650mm×W600mm×D600mm
顕清62歳の作品。これにより5年前「日展」において日本芸術院賞を受賞。彫刻家としての地歩を確固たるものとしていた。穏やかな肉付け、気張らない姿態の中にも生きる身体の緊張と生命の輝きを見せる。1962年北海道ゆかりの作家として初めて芸術院会員に推挙される。1952年~62年の間は、人間の内面追及の10年である。趣のある人間像に独自の世界を築いた。(元札幌芸術の森美術館 館長 笹野尚明氏)

加藤顕清略歴

1894年 岐阜県に生まれ。
1913年 上川中学(現旭川東高校)卒業。
1915年 東京美術学校彫刻科入学。
1921年 第3回帝展に「静寂」を出品。以後、毎年帝展、文展に出品。
1928年 第9回帝展で「女人像」が特選となる。10回、11回と連続して特選を受賞。
1952年 日本芸術院賞受賞。
1962年 日本芸術院会員。
※旭川ゆかりの彫刻家中原悌二郎作品の取集に尽力。
1966年 ご逝去 71歳。

交差する形/内田晴之

交差する形 内田晴之
設置日:平成16年7月
材質:ステンレス、マグネット
作品:H2000mm×W1800mm×D1300mm
「交差する形」は1995年に制作した作品です。当初から一部納得がいかない部分があり、いつか手直しをしたいと思っていたのですが、手付かずのままでした。この機会をいただいてその手直しを行い、納得できる作品になりました。赤い部分とステンレスの直方体には、それぞれ永久磁石が取り付けてあります。一定の空間を保ちながらも直方体が倒れないのは、永久磁石がそれぞれ反撥しているからです。「交差する形」が北海道療育園の緑を、雪を、ひときわ鮮やかにしてくれればと思います。(除幕式での挨拶より)

内田晴之略歴

1952年 静岡県生まれ。
1976年 京都精華短期大学立体造形科専攻科修了。
1993年 第6回京都美術文化賞受賞。
1997年 第17回現代日本彫刻展大賞受賞。
1998年 第29回中原悌二郎賞優秀賞受賞。

プレイスカルプチャー/イサム・ノグチ

プレイスカルプチャー イサム・ノグチ
設置日:平成18年8月
材質:鋼製塗装仕上
作品:H820mm×W2674mm×D2674mm

これはあの子どもたちの世界。
私が創造したものを子どもたちに発見してもらいたいのです。そしてちょうど原始、人がそうしたように、子どもたちにも直接、大地と向き合ってもらいたいのです。(イサム・ノグチの言葉より)
※プレイスカルプチャーは1970年頃、日常の生活の中にアートを持ち込む要素として身近な素材より考案。

イサム・ノグチ略歴

1904年 アメリカ・ロサンゼルス生まれ。
彫刻、インテリアデザイン、造園、舞台芸術など多分野おいて活躍、世界的なアーチストとなる。
札幌大通りの「ブラック・スライド・マントラ」、札幌モレエ沼公園のインスタレーションなどを手がける。
1988年 ご逝去 84歳。

風の中の母子像/山内壮夫

風の中の母子像 山内壮夫
設置日:昭和61年10月
材質:ブロンズ
作品:H1550mm×W420mm×D300mm(台座別)
君の彫刻は当然ロダン以後から出発した。彫刻の中の構造について最初のテーマが決定された。それはやがて建築と彫刻の関わり合いに接近し、その接点までの問題を深めていった。そこには、また当然に、知性と理数の教養なくしては追求し得ない世界があり、君にとっての空間造形のすべては、この根幹の意識の世界にノミを刻みつづけることであった。(「全道展物故作家追悼・山内壮夫」『30周年記念全道展画集』全道美術協・1975年より)

山内壮夫略歴

1907年 岩見沢市生まれ。
1925年 東京高等工芸学校(現千葉大工学部)入学。
1970年 中原悌二郎賞の選考委員となる。
1975年 ご逝去 67歳。
「風の中の母子像」は48歳の時の作品で、北海道療育園の園庭彫刻としては一番古い。母子像は山内の重要なモチーフ。

オクテトラ/イサム・ノグチ

オクテトラ イサム・ノグチ
設置日:平成18年8月
材質:普通コンクリート、塗装PC版
作品
・1体 H1372mm×W1372mm×D1372mm
・5体(台座含む) H3294mm×W2744mm×D2744mm
ギリシア語でオクトは8、テトラは4を意味します。大面4、小面4の計8面体で構成されたこの遊具彫刻は、この数字に由来し、「オクテトラ」と名付けられました。作品の中はタイムカプセルのようで、円環から空、太陽、月、星、宇宙との対話を楽しめる遊具彫刻です。

イサム・ノグチ略歴

1904年 アメリカ・ロサンゼルス生まれ。
彫刻、インテリアデザイン、造園、舞台芸術など多分野おいて活躍、世界なアーチストとなる。
札幌大通りの「ブラック・スライド・マントラ」、札幌モレエ沼公園のインスタレーションなどを手がける。
1988年 ご逝去 84歳。

子を守る母たち/山内壮夫

子を守る母たち 山内壮夫
設置日:平成9年6月
材質:ブロンズ
作品:H1900mm×W640mm×D640mm
男と女のフォルムの組み合わせは、ぼくの最も重要なモチーフの一つなんだ。人間造形という極めてヒューマンな基盤の上に、近代的な解釈を加えて会心の仕事をしたいと思っている。(「アトリエ訪問11 山内壮夫 人間造形軌道に」北海道新聞1958年9月4日より)

山内壮夫略歴

1907年 岩見沢市生まれ。
1925年 東京高等工芸学校(現千葉大工学部)入学。
1970年 中原悌二郎賞の選考委員となる。
1975年 ご逝去 67歳。